「コーナリングの安定性をあげたい」、「スポーティーな外見にしたい」というとき、定番のカスタムとして車高を低くするということがあります。しかし、やり方を間違えると保安基準不適合の状態となり車検に通らなくなる場合があります。
今回は車高を低くした車で不合格になりやすい基準をまとめました。
①最低地上高
車高を低くすると、車が地面に接触しやすくなり、最低地上高の基準が不合格になりやすいです。
その最低地上高は、基本9cm以上なければなりません。しかし、下表のとおり一部の構造・装置については基準が緩和もしくは対象外となります。

よくある不適合例としては、マフラーや触媒などのでっぱり部分の地上高が9cm未満となることが挙げられます。自分の車の底を覗いてみて、一番低そうな場所の地上高は確認しておくようにしましょう。
最低地上高の基準は、車両総重量2.8t以上の貨物自動車は対象外となります。そのため、ハイエースやキャラバンなどのバン型の車を貨物自動車として登録している場合、車両総重量によっては最低地上高の基準を逃れることができる場合があるので、車検証の車両総重量欄を確認してみましょう。ただし、ユーザー車検を受ける場合、検査場のテスタを通過できるだけの地上高を確保していないと、検査を最後まで受けさせてもらえない場合があるので注意が必要です。
②灯火器の取付位置
地上高を低くすると、灯火器の取付位置の基準が不適合となる場合があります。地上から灯火器の下縁の高さを一定以上の高さにしなければならないという基準があります。下表に灯火器の種類ごとの取付高さの基準をまとめました(年式が平成18年以降の車の基準)。
| 灯火器 | 車幅灯 | すれ違い用前照灯 ロービーム | 走行用前照灯 ハイビーム | 前部霧灯 フロントフォグランプ | 番号灯 ナンバー灯 | 尾灯 テールランプ | 制動灯 ブレーキランプ | 補助制動灯 ハイマウント | 後退灯 バックランプ | 後部霧灯 リアフォグランプ | 方向指示器 ウインカー | 補助方向指示器 | 後部反射器 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 基準値 | 25cm以上 | 50cm以上 | 基準なし | 25cm以上 | 基準なし | 35cm以上 | 35cm以上 | 85cm以上※ | 25cm以上 | 25cm以上 | 35cm以上 | 35cm以上 | 25cm以上 |
この基準で不合格になりやすいのは、ノーマルの状態ですでに低い位置に取付けられている灯火器です。車種にもよりますが、方向指示器、前部霧灯、後部霧灯などは特に不合格になりやすいので、車検に行く前に各灯火器の取付け高さを確認しておきましょう。
③タイヤ・ホイールのはみだし
カスタム方法にも依りますが、車高を低くするとタイヤ・ホイールが車体からはみだし不合格となる場合があります。タイヤ・ホイールのはみだしの規制対象となる部分は、以下の図のオレンジ色で囲まれた扇形の範囲です。

規制対象の部分の真上の車体(フェンダー等)からタイヤ・ホイールがはみ出しているかどうかを確認する必要があります。乗車定員10人未満の乗用車であれば、タイヤのはみだしが1cmまでは許されていますが、ホイールに関してははみだしが一切許されていません。フェンダーからおもりをつけた糸を垂らすなどしてはみだしているかどうか確認しておくとよいでしょう。
④ヘッドライトの光軸ずれ
車高を低くすると、それに合わせてヘッドライトの位置も下にずれるため光軸の基準が不適合になる場合があります。
特に注意したいのが、オートレベライザーという、車高に応じて光軸を調整する機能がある車の場合です。このオートレベライザーはノーマル状態の車の車高を基準として機能します。車高を下げてしまうと、オートレベライザーのセンサーが、「ノーマル状態とは異なる車高」と判断してしまい、光軸を変動させてしまいます。そうなると、車高を検知するハイトセンサーの変更やオートレベライザーの設定をリセットするなどの対応が必要となる場合があります。
⑤改造申請の未提出(※改造に該当しないカスタムであれば提出不要)
カスタム内容によっては、車検を受ける前に独立行政法人自動車技術総合機構に改造申請を提出し、その書類が承認されてないと車検を通すことができません。どのようなカスタムが改造に該当するかは以下のリンク先の「別添2 新規検査等書面審査要領」の21~24ページ目に載っています。
独立行政法人自動車技術総合機構
審査事務規程 | NALTEC 独立行政法人 自動車技術総合機構
例えば、緩衝装置の種類をコイルスプリング式からエアサス式に変更した場合は改造申請の提出が必要となることがあります。改造申請に該当するかどうか不明なときは独立行政法人自動車技術総合機構の最寄りの事務所に尋ねてみると良いでしょう。
以上、車高を低くすると不合格になりやすい基準でした。
カスタム内容によっては、通常の車検更新で受ける継続検査ではなく、構造変更検査を受けて、車検証に記載された車の高さの数値の記載を変更しなければならない場合があります。構造変更検査については別記事にて紹介することにします。
カスタムを行うのであれば事前に基準を満たせるかどうかを考慮したうえで楽しみしょう。




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